ブロックチェーン技術の補足(経済産業省平成28年4⽉28⽇ 商務情報政策局 情報経済課 資料)

【1】ブロックチェーン技術が社会経済に与えるインパクト

市場だけでなく、産業構造へ影響を与える可能性がある

01.【価値の流通・ポイント化プラットフォームのインフラ化】

ポイントが、発⾏体以外との取引にも利⽤されるようになる。その結果、 ポイントが転々流通することで通貨に近い利⽤が可能となるとともに、ポ イント発⾏額以上の経済波及効果が⽣じる。

さらにポイントサービスが預⾦・貸出に類する機能を獲得することで、信 ⽤創造の機能を獲得し、⽇銀による景気対策(⾦融政策)以外にも ⺠間企業による仕掛けができる可能性

02.【権利証明⾏為の⾮中央集権化の実現】

⼩売店(川下)、卸(川中)、製造(川上)で分断されている在庫情 報や、川下に集中していた商流情報が共有されることで、サプライ チェーン全体が活性化/効率化するとともに、川上の交渉⼒の強 化につながる。⇒流通のアンバンドル化

電化製品等は、IoTの進展や製品保証とも連携することで、最終 消費者への販売後のプロダクトライフサイクルをトラッキング可能とな り、売切りではないビジネスへ転換することが容易になる。

03.【遊休資産ゼロ・⾼効率シェアリングの実現】

遊休資産の稼働率のほか、⼊場券、客室、レンタカー、レンタルビ デオ等の利⽤権限管理に劇的な効率化がもたらされる。

究極的にはC2C取引が、現在のシェアリングエコノミーのプラット フォーム事業者を介在せずに⾏われる環境が構築される

「⽣産者/サービス提供者」と「消費者」の境界がなくなることで、 「プロシューマ」というあり⽅が⼀般化する。

04.【オープン・⾼効率・⾼信頼なサプライチェーンの実現】

⼟地の登記や特許など、国管理のシステムをオープンな分散システ ムで代⽤可能になり、届出管理等の地⽅⾃治体業務減少といっ た、政府の業務負担減少が可能。

本⼈証明としての印鑑⽂化や、各種契約時(スマホ、銀⾏⼝座 開設等)の際の本⼈確認のための書類提出等のプロセスが変 化・代替される可能性がある。

05.【プロセス・取引の全⾃動化・効率化の実現】

各企業におけるバックオフィス業務(契約や取引の執⾏、⽀払・決 済、稟議などの意思決定フロー等)の⼤半を置きかえることが可能。

IoTとスマートコントラクトによるマイクロペイメントを組み合わせること で、受益者負担をより正確に反映した公共サービス等のコスト負 担の仕組みが構築可能。 (例えば、ゴミの量や道路の利⽤量に応じた課⾦による税徴収 等)

【2】政策に求められること

⺠間における社会実装を促進するため、実証事業の⽀援や、政府⾃らも実証して いくことで広くブロックチェーン技術の有⽤性を周知する

①ブロックチェーンを活⽤した新ビジネスの検証のための⺠間実証の促進と、成果及び 課題の集積を⾏い、広く公開していくことで市場の発展を促すこと。

例:地域限定ポイント、電⼦チケットサービス等の実証や、そうした実証を通じた SLA(Service Level Agreement)の策定 等

暗号分野など既存の技術的蓄積を⽣かしつつ、これまで不⼗分だったブロックチェー ンの数理的、情報理論⾯からの検証を後押しすること。

例:⼤学等での研究拠点、研究者間のネットワーク

③⾏政分野におけるブロックチェーン技術の導⼊を進めることで、⾏政の効率化、⾼度 化を推進しつつ、率先垂範すること。

例:⽂書管理、特許、⼟地登記、投票、徴税、婚姻・出産届 等

④ブロックチェーンの社会実装を円滑に⾏うため、必要に応じて規制等を⾒直すこと。

例:消費税法(仮想通貨やポイントへの課税)、資⾦決済法(国際送⾦)、電⼦ 署名法(法的証拠能⼒の明確化) 等

【3】ビットコインからみるブロックチェーン技術の特徴と課題

1)ブロックチェーン技術とは

• ビットコインを実現させるために⽣まれた技術であり、いくつかの暗号技術がベース

• P2Pネットワークを利⽤してブロックチェーンデータを共有し、中央管理者を必要と せずにシステムを維持することを実現

2) 技術の特徴と課題

1.新ブロック⽣成に時間がかかる ブロックチェーンの種類によるが、データ処理の確定に数秒〜10分程度かかるので、即時性が必要なアプリケーションには不向き

2.単位時間あたりのトランザクション件数が限られている 規定されているブロックに格納できるデータ量の上限と、新ブロック⽣成にかかる時間との関係から算出する、1秒間に処理できる トランザクション件数がVISA等の既存決済システムと⽐べて劣っている

3.実ビジネスでの運⽤⼿法等が確⽴されていない 実ビジネスへの適⽤例が少ないこともあり、ブロックチェーンに関わる各性能要件や仕様が明確ではなく、いわゆるSLA(Service Level Agreement)が整備されていない